歯を保存して残す治療 ルートエクストルージョン

ルートエクストルージョンとは部分矯正の技術を用いて、歯を少しずつ引っ張り出し正常なバランスにして歯を抜かずに保存する治療のことを指します。

歯の崩壊が進みすぎた状態の歯をクラウンで被せ物の治療を施しても、数ヶ月〜数年で外れてしまうため、保険治療では抜歯と判断される場合があります。その様なケースにおいて最後の手段となるのがこのルートエクストルージョンです。

施術可能かどうかの診断にはレントゲンとCT -3Dレントゲン画像が必要になります。全てのクリニックで行われているわけではないので、他院で抜歯しましょうと言われた歯も、当院でセカンドオピニオンを希望していただければ、診査・診断の上、可能かどうか判断することが出来ます。

セカンドオピニオンのみ希望(無料でお話だけ)の際は前のクリニックでスマホの写メでも良いのでパノラマX線の画像をご持参頂くと、審査料等をかけずに済みます。また、お口の中を少し見させて頂くだけでも、ある程度のことまで無料でお伝えすることはできます。

右下の奥歯を抜かずに済んだケース

初診時の写真です。右下奥歯の被せ物が土台から外れてしまった状態です。綺麗に外れていれば付け直すことが可能でしたが、歯の一部がかけて根っこ部も歯茎ラインより下に見えている状態で厳しい状態でした。選択肢としては、

①抜歯

②数ヶ月で取れてもいいから、無理やり付け直す

ルートエクストルージョンを用いて根を引っ張り出し、土台を作りクラウン(被せ物)をつける

今回のケースで仮に①抜歯した場合、前後の歯を削ってかぶせるブリッジにすると、手前の犬歯の神経を抜く可能性が高く、長期的に見て生存率が下がります。また、抜歯した後インプラントを選択した場合ですが、この方は歯を支える骨が痩せており、予後が悪い可能性があることがわかりました。

②の処置はその場しのぎなので、結局数ヶ月後に取れてしまいます。

③のルートエクストルージョンが成功すれば、歯を抜かない長期的に安定する治療ができます。また福利として、歯を引っ張り出す際に骨が形成されることから、万が一5~20年後に抜歯になってしまったとしても、有利な条件でインプラントなどをできますので、とても良い一手と考えられます。

エクストルージョン中の状態

金属の装置を前後の歯に樹脂で固定し、専用ゴムで根っこを引っ張りあげます。専用ゴムは1〜2週間に一度交換します。痛みはほとんどありません。また、前歯のケースの場合は目立つので、この金属の装置の前に仮歯を貼り付けて、比較的目立たない様にすることもできます。

1ヶ月半後の引っ張り出した後の状態

歯の根と、歯肉と歯槽骨が一緒に上がってきた状態です。ケースバイケースですが、歯の根っこだけ上がってくるケースもあります。

上がってきた歯肉は不要なので少しだけ切開して削ぐ(クラウンレンウスニング)必要がありました。

 

 

クラウンにて歯をかぶせる直前の状態

天然歯が歯茎ラインより上に出たことにより、クラウンが長持ちする条件が整いました。

この様に、比較的リスクも少なく非常に便利な方法であることから、歯を保存する歯科医院であれば結構行われている方法ですので覚えておいて下さい。

施術名:ルートエクストルージョン

施術説明:上記参照

副作用:根っこが湾曲していると引っ張り出せない場合があります。また湾曲している根っこを施術し続けると、その歯でなく前後の歯が沈み込むリスクがあります。また歯肉も一緒に上がってきてしまったら、仕上げに小外科処置(処置料の範囲内で済みます)が必要になる場合があります。

施術期間:1.5〜2ヶ月

初期費用:88000〜110000円(税込)

処置料(1回あたり):1100〜5500円(税込)

 

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